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それは衝撃として、僕の前に現れた。
軍の仕事は昼までだったスザクは、午後は学校に来ていた。
そしていつものようにクラブハウスに顔を出す。
それがいけなかったのか。
いや、ある意味、彼の新たな一面が見れたのは幸運だったのか。
「アーサー。お前はなんでそこまでスザクを嫌う」
聞こえた言葉は親友のもの。
ドアを開けようとして、スザクはドアノブに手をかけるところで止めてしまった。
「…そこまで言うか?」
次に聴こえたのは飽きれた様に言う彼の言葉。
「分かった。確かに、お前の言うことも分からないでもない…だがな、…分かっててやってるのか?」
諦めたような、喋り方。
話している相手は、アーサーだろう。
さっきから、タイミングよく、まるで本当に話でもしているかのように鳴き声が聴こえる。
だが、あのルルーシュが猫と会話なんて。
衝撃だ。
それしかいえない。
だが、彼の妹や異母妹は猫語を駆使して、会話を成立させる。
それを思えば、不思議なことではないのかもしれない。
そんなことを考えていると、内側からドアが開けられた。
「それで、お前はいつまでそこで俺達の会話を聞いているつもりだ?」
苦笑しながら、ルルーシュはそこに立っていた。
「え?…あ、ごめん!」
何に対して謝っているのか自分でも分からず、ともかく頭を下げる。
ルルーシュが紅茶を入れるのを横でみながら、スザクはまたさきほどのことを考えていた。
だが考えていても埒が明かないと、思い切って聞いてみることにする。
「ねえ!ルルーシュ!!」
「なんだ?」
どこか、思いつめたような喋り方をすれば、返ってきたのは淡々とした応え。
「あ、あのさ。猫とお話できるの?!」
「・・・・・・・・・・・」
「にゃあ」
「いや、お前が言ったところで、スザクは理解しないぞ」
やっぱり分かるらしい。
それが答えでもあるかのように、やはりスザクは衝撃を受ける。
「はあ、…まあ、分かるな」
「…それは、皇族だから?」
「いや、皇族は関係ないな。まったく。何故だ?」
「だって、ナナリーも猫語駆使して会話してたじゃない!」
「ああ…教えたのは俺だからな」
「お…っ!!」
紅茶を飲みながら淡々と答えるルルーシュ。
スザクは出てくる言葉にさらに衝撃を受ける。
「ナナリーがな、何を話しているか理解したいというからな。以前、コツだけ教えた。もう1人の異母妹と一緒に」
どうやら第3皇女もルルーシュから教えてもらったことがここで発覚。
猫語を教えるルルーシュを想像し、ありえないと思い、頭を抱える。
「ルルーシュって、そんなファンシー思考だっけ?」
「事実だ。そんな思考は持っていない。いたって現実主義だ」
「…じゃあ、本当に猫語が分かるんだ。もしかして、他の動物も分かったりするの?」
なんとなく、この分じゃ他のも分かってそうだなと思いつつ訊いてみる。
「まあ、大体は分かるな。人間と違って思考が簡単に出来ているせいか、意思の疎通は図りやすい」
「…すごいね」
スザクは思う。
人間離れした体力だと。化け物じみているとよく言われているが、ルルーシュ。
君もそうとうだよ。
そう思っている横では、さらにアーサーとルルーシュが会話を広げている。
傍から聞いていると、猫に話しているかわいそうな人だ。
だが、理解している。
そしてふと思う。
「ねえ、僕にも教えてくれる?」
「教えたところで、意思の疎通が図れるか分からないぞ。お前、相当に嫌われているようだからな」
だったら一生懸命、誠心誠意込めて、意思の疎通はかるから!!
その言葉はどこか悲痛な叫びにも似ていた。
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一期のどこか。初期。平和な日常バンザイ。